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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。
先日、中学生の歴史の授業で、平安時代の要点をまとめました。
その中で、前九年の役・後三年の役や、保元の乱・平治の乱の詳細についても確認しました。長野県の公立高校入試では、安倍貞任のことですとか、清原(藤原)清衡のことですとか、あまり細かいところまで覚える必要はないのかもしれません。とはいえ、ある程度の内容を知っているのと知らないのとでは、記憶の定着が雲泥の差になるかと思います。歴史は人間の織り成すさまざまなストーリーの絵巻物です。同じ人間であれば、誰でも自然と興味を持てるものであるはずです。
ところが、毎年、中3駆け込みの生徒さんたちの多くにおいて、たとえば、壬申の乱、承久の乱、応仁の乱、などが、それぞれ何時代なのかさえ分かっていないような状況が散見されます。あるいは、条約と言えば、判で押したように「日米和親条約」か「日米修好通商条約」と答えてこと足れりとしてしまう、そんな生徒さんがここ数年多く見られます。歴史をただの「お勉強」、ただの「暗記科目」と思っているからか、かえっていつまで経っても身につかず、暗記もできないのです。急がば回れ、ではないですが、きちんと周辺の事項や前後のストーリーまで押さえれば、自然と定着すると、塾長はつねづね考えています。
さて、とはいえ、学びの庭は「学習塾」。テストに出る年号を語呂合わせで暗記することも、否定はしません。「聖徳太子はコックさん(593年に摂政になる)」「律令政治に慣れ始め(701年に大宝律令が出される)」「いい国つくろう、鎌倉幕府(1192年に源頼朝が鎌倉に幕府を開く)」など、指標となるところは覚えていて損はないでしょう。(最近は、「いい箱(1185)つくろう、鎌倉幕府」などと教える向きもあるようですが、後白河法皇の死後、朝廷から源頼朝が征夷大将軍に任ぜられたと言われているところを節目とする方が自然でしょう。それに、「箱」を作って一体どうする気ですか。意味がありませんね。)
閑話休題。
ところで、有名な語呂合わせ、「鳴くよウグイス平安京」(794年に桓武天皇が平安京遷都)。どうして、鳴くのがカッコウでもニワトリでもヒバリでもカラスでもなく、ウグイスなのでしょう。また、どうして、「なんと大きな平城京」(710年に元明天皇が平城京遷都)は、こんなに驚いた表現なのでしょう。
こうしたことへの解説が先生から一言あるかないかで、生徒さんの記憶の定着は全く違ったものとなります。学びの庭では、単なる反復練習だけでなく、こうしたいわば知識の「肉づけ」の部分を大切にしています。向学心にあふれる熱心な生徒さんは、「なるほど、そうなんだ~。誰かに教えよ~」と言いながら、ノートの端っこにメモしていましたよ。こういう生徒さんは、歴史事項を「覚えよう、覚えよう」としなくとも、ごく自然に、やすやすと、「覚えてしまう」のです。じつに頼もしい限りです。