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コロナ禍に、『文字禍』と『文字渦』。

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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。

 

いま、小諸東中学校は、《読書旬間》だそうです。

訊くと、皆さん、いろいろな本を読んでいますね。

『キノの旅』のような冒険・風刺の小説。『バッテリー』のような友情・成長の物語。『池上彰の~』のような政治・経済の解説本。…なかには、『陰影礼讃』のような珠玉の審美的・嗜好的な随想を読んでいる生徒さんもいました。

 

さて、塾長は最近、中島敦の『文字禍』円城塔の『文字渦』を読みました。

前者に関しては、文字のみならず、物や人を見てもゲシュタルト崩壊が起こっているところが、この話の凄みですね。洋の東西、時代の古今を問わず、文字という魔物に憑りつかれて、自分の住まう世界そのものが変貌してしまう人間というのはいるのですね。

後者に関しては、物語的結構もさることながら、活字のありようやディスプレイのされかたなど文字をめぐる多様な側面についての考察が随所でなされています。一方では、アナログな硯や墨や筆のありようまで細かくとらえなおされていて、他方では、ディジタルな活字をめぐる遊戯(真面目な悪ふざけ?)の極限をも目指しているように思いました。文字好き・漢字好きには、たまらない一冊なのではないでしょうか。

 

良書を読むことは、何かしらの糧になるものと信じます。良書について、とりあえず塾長は、こんな風に定義しています。

生徒さんにとっての良書とは、《頭や心の成長を促す、登場人物たちの心の葛藤が描かれている物語》である、と。

塾生の皆さんは、ぜひ、ちょっと背伸びをした本を手に取って、自らを成長させていってください。

 

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