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10分間作文。三好達治「土」。

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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。

 

先日、小5~中3の塾生を対象に、10分間作文を久しぶりにおこないました。

題材には、小学5年生の教科書に載っている短い詩、三好達治の「土」を用いました。

 

   土      三好達治

 蟻(あり)が

 蝶(ちょう)の羽をひいて行く

 ああ

 ヨットのや(よ)うだ

 

これだけの、短い詩です。これを題材に、100字を目安に感想文を書いてもらう課題です。

ただ漫然と書いてもらっても意味がありませんので、手本とすべき構成を次のように決めました。

 

① 疑問点を挙げる。(なぜ~か。)

② それに答える。(おそらく、~だろう。)

③ 膨らます。(想像、さらなる問いなど。)

④ まとめる。(結語。結論。)

 

いかがでしょう。皆さんなら、どのような問いを設定しますか。

塾生の大半は、「どうして蟻が蝶を引いていく様子が、ヨットのように見えるのだろうか。」という問いを設定していました。もちろん、いろいろな問いがあって良いので、こうした設定もあり得ますが、これは、ほぼ一次読み取り[初歩的な内容把握]の段階で充分に答えが出てくるものだと思います。要するに、ありていに言ってしまえば、答えの分かりきっている問いだということです。残念ながら、これではなかなか個性的ないし独創的な感想文(評価や点数の高い感想文)には仕上がりません。

今回の塾生による感想文の中でも、独創的なものになると、たとえば、「蟻が蝶を捕まえて食べようとしているのに、なぜ『ヨットのようだ』と軽く言っているのだろうか。」など、一次読み取りの次元を超えて、より踏み込んだ問いが設定されていました。ほんの100字程度の感想文です。一文目からこのくらい踏み込んでいかなければ、遠くまでたどり着くことは難しいでしょう。実際、この感想文を書いた塾生は、他の子にはたどり着けないような、個性的な(ユニークな?)“教訓”をこの詩から読み取っていました。

ことほど左様に、問題設定というのは、大切なものなのです。

塾長は、開塾当初から言い続けていますが、これからの時代は単なる問題“解決”能力(もちろんこれも大切ですが)だけでなく、独自の問題“設定”能力が必要となってくるだろうと考えています。近年の長野県公立高校入試の国語でも、100字程度の記述問題は出題されうるので、これからも折々こうした10分間作文を学びの庭の授業内で扱っていこうと思っています。いまの生徒さんたちは、指導要領の関係で、まともな作文指導を受けていません。ですから、作文の“いろは”さえ分かっていない生徒さんが、大勢います。学びの庭で、観点・思考法・表現法などのヒントを得ていけば、必ず今後さまざまな局面で大いに役に立つはずです。

 

さて、最後に、小学生・中学生それぞれのなかで、最も優れていると塾長が判断した感想文を、そのまま引用します。皆さん、ぜひ参考になさってください。

 

《小学生の感想文》

どうしてこの詩は「土」という題名なのか。たしかに、蟻は土の中で生活していて、土とのかかわりが深い。蟻は海の中では生活できない。でも、蟻の生活からも、海に関係するものを想像することはできる。この詩は、そのものとは関係ないけれどその生活から他のものが想像できるということを言っているのではないだろうか。

 

《中学生の感想文》

なぜ作者は、土の上を進む蟻と蝶の羽を、海の上を進むヨットにわざわざ喩(たと)えたのか。きっと作者は、地べたをちまちまと進みながらも、大きな獲物を見つけた一匹の蟻の喜びや誇りを感じ、それが大海原へ漕ぎ出そうとする一艘のヨットの夢や希望と重なったからだと思う。

 

どちらも、「ヨット」が「海の比喩」であるという点に気づいているところが優れています。《陸のもの》《ちっぽけなもの》である蟻の営みに、《海のもの》《大きな広がり》を見て取っている点が、この詩を読む上では外してはいけないダイナミズムなのでしょう。海の中に母を見て、母(mère)の中に海(mer)を見た詩人らしい、広がりのある世界観であるとも言えそうです。

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