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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。
昨日は少しだけ雪がちらつきましたね。
いまはよく晴れています。日の丸を掲げて晴れの祝日を寿いでいます。
さて、皆さんは、このお正月の期間、どんな本を読んだでしょうか。
(いま、国民の6割が読書をしないとも言われているようで、亡国の道、まっしぐらですね。)
塾長は、横田庄一郎著『「草枕」変奏曲 夏目漱石とグレン・グールド』、横田庄一郎編『漱石とグールド 8人の「草枕」協奏曲』という2冊を読みました。
カナダのピアニスト、グレン・グールドは、人生の最後の十五年間ほど、夏目漱石の『草枕』を枕頭の書にしていたようです。どこにそれだけ惚れ込んだのでしょうか。
絵画、文学(詩・小説・俳句など)、音楽、彫刻といった芸術論として、能の舞台を見るように世の中を見るという、非・人情的、出・世間的な認識に立った哲学論として、孤独や無の境地に愉しむ人生論として、……様々な観点から『草枕』は読めます。
本書は『草枕』の世界文学としての受容の一例を捉えたものでもあります。
日本文学の研究者・プラダン・ゴウランガ・チャランが『方丈記』の世界文学としてのrepositioningについて考察した名著、『世界文学としての『方丈記』』と同様、謂わば《世界文学としての『草枕』》が実感できる2冊です。
目下、グールドがもっとも読み込んでいたと思われる、アラン・ターニー訳の『草枕』The Three Cornered World も註文中です。
『草枕』は、英語圏においてどのような訳語で受容されたのか。
若き日の夏目漱石が英訳し、それに寄せたエッセイも英文で綴った文章や、留学時にインド洋上で認めた英文メモと、どのような関連性があるのか。
届く日が待ち遠しいです。