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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。
一昨日おこなわれた全国学力テスト。授業で生徒さんに感想を訊いてみたところ、なかには「習ってないことが出た~」などと言う人もいました。
そうです。習ってないことが出た。それでいいのです。習っていないことが出題されるからこそ、面白いのです。
ある意味、習ったことができても、大した自慢にはなりませんね。
習ってないことができたとき、思わず「やった!」と感じることの方が、こうしたテストでは価値が高いです。
とはいえ、日ごろからの常識や教養の積み重ね、および、習ったことの鍛錬も、大いに重要なことと思います。そうしたものがあってこそ、未知の問題にチャレンジできるのですから。どうかそこは怠りなく。
さて、今回の学力テスト。中学生の国語では、夏目漱石の『吾輩は猫である』のなかから文章が引かれて、出題されていましたね。語彙が結構難しく、苦戦したのではないかと思います。「なまじい」「しくはない」「百年目」「ふてえやつ」「すこぶる」など、普段から古典的名作を読みなれていない生徒さんたちには、なかなか大変だったのではないかと思います。
良書の読書は、語彙と知識と教養を高めます。漱石を一冊もまともに読んだことがないなんて、悲しすぎますので、中学生の皆さんは、何か読みやすいものから楽しんで読んでみるといいでしょう。
『吾輩は猫である』は、トチメンボー、アンドレア・デルサルト、どんぐりのスタビリチイ、首くくりの力学、などなど、漱石一流のギャグ・センスに満ちていて、抱腹絶倒のお話なのですが、やや言葉が難しいので、他のものを読んでからのほうが良いでしょう。比較的短くて語彙も平易な『坊っちゃん』や、シュールで奇妙な小話『夢十夜』あたりが、おすすめです。
『草枕』『虞美人草』『三四郎』『それから』『門』『彼岸過迄』『行人』『こゝろ』『明暗』…どれもいろいろと考えを深められる作品ばかりです。大袈裟な話でなく、漱石を読む前と読んだ後では、人間が違ってくると思います。
塾長は常々、漱石を読んだ生徒さんと意見交換ができたらさぞかし楽しいだろうと思っているのですが、なかなか皆さん読んでくれませんね。残念です。