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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。
(前回からの続きです。今回で完結の話題です。)
次に、中2の英語長文問題での、充実ぶりについてお話しします。
② 旅、旅行、小旅行、船旅、観光旅行、遠足、…。
中2超少人数クラス授業でのことです。
英語の物語で、主人公の男が旅に出ます。
さて、ここで授業はいきなりの“足踏み”です。
塾長のad libで、「『旅』と言っても、英語ではいろいろとあるんだよ」と、その場でいろいろと電子黒板に書き出してみました。
journey
travel
trip
voyage
tour
excursion
…
各単語のニュアンスをそれぞれ伝えた後、電子辞書の音声で発音も確認しました。おそらく他塾でも、travelとtripの違いくらいは触れるでしょうが、こうした多数の単語への(良い意味での)こだわりは、おそらく疎かになっている点でしょう。こうやって、「学びの庭」では、語彙を大幅に増やすことを実践しています。さらに、「みんなはどの旅が好きかな?」と、問いかけ、選んでもらいました。人気は、船や飛行機で行くようなvoyageや、レクリエーションなども交えたexcursionなどでした。なかには、帰還するかも分からぬjourneyに出たいという、“さすらい人”な生徒さんもいました。こうした発問にも意味があります。というのは、学習したことを記憶に残すためには、感情と結びつける方がいいからです。(塾長は授業で生徒さんたちと遊んでいるのではありません。すべてに狙いがあるのです。…まあ、当たり前ですね。。。)
さて、主人公はある小さな町にたどり着きます。その町は、It has little entertainment.だそうです。littleとa littleの違いももちろん教えましたが、いまはentertainmentという語に着目しましょう。塾長は、この単語をただ無味乾燥な形で教えるのではなく、すかさず、
entertain
maintain
contain
sustain
など、まとめて押さえておいた方が良い単語と並べて、次のように発問します。「これらのなかで、日本語の意味が分かるものはあるかな?」
多少の発言が見られるのですが、いまひとつ生徒さんの反応が鈍かったので、さらに、
entertainer
maintenance
container
sustainable
など、派生をさせたものも示します。これらはすべて外来語として日本語にもなっているものですね。こうなってくると、かなりいろいろと発言が出てきます。
なかには、「サスペンス」などという、接頭辞sus‐に関する話にも通じる発言をしてくれた生徒さんもいました。
語彙を血肉にするためのこのようなやりとりが、言語には必要なのです。とはいえ(学習塾ですので)、あまり引きずりすぎず、答えを確認します。そして、一連の知識は、必ずノートに取ってもらいます。そうでなければ、せっかくの知識の集積が、雲散霧消してしまいます。大人でも、先週学んだことをすべて覚えていることなんてできませんよね。学習は、知識と知恵と技能の集積です。
そして、旅の話が終わると、その内容が面白かったからか、多くの生徒さんたちが、「この話、明日学校に持って行ってクラスの○○に読ませよう!」などと、嬉々として話してくれました。ここでも、生徒さんの感情は大いに盛り上がっています。実際、このクラスの生徒さんたちは、概して成績も大幅に上昇しています。コツコツやることももちろん大切ですしそういう場面も当然必要ですが、こうした盛り上がるということの効用も大いにあるのですね。
…長くなりました。辞書についても一言いいたかったのですが、それは、またの機会に。