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神無月のころ…。

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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。

 

今回は、古文のお話。

先日、中学2年生および中学3年生に、兼好法師『徒然草』から、「神無月のころ」の段を中心的に取り上げ、古文の読解方法を指導しました。

陰暦異名の確認から入り、助詞「の」の用法や、係り結び副詞の呼応同格表現、…はては、反実仮想に至るまで、さまざまなことを解説しました。反実仮想や係り結びの例文では、『伊勢物語』の和歌を二つ取り上げました。

 

世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし

散ればこそいとど桜はめでたけれ憂き世になにか久しかるべき

 

『徒然草』の内容としては、懸樋とは何か、閼伽棚とはどのようなものか、などもさることながら、より本質的な、兼好法師の美意識や、日本人が古来より持ち合わせていると言われている無常観についても概説しました。これについてはさらに、同じ中世の随筆『方丈記』の冒頭部分にも触れました。

この『方丈記』の冒頭については、夏目漱石や南方熊楠による英訳を、塾に掲示しておきます。塾生の皆さんは、ぜひ、原文、二人の英文、現代語訳を比べて読んでみてください。面白いですよ。以下、冒頭の1文のみ引用してみます。

 

行く川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず。(鴨長明『方丈記』)

Incessant is the change of water where the stream glides on calmly. (K.Natsume:A Translation of Hojio‐ki)

Of the flowing river the flood ever changeth,[…](Minakata Kumagusu:A JO‐SQUARE HUT)

川の流れは絶えまなく、その水はいつも入れ替わり、もとの水はとどまらない。(蜂飼耳訳[光文社古典新訳文庫])

 

…今回のここでのお話は、最後には英語の話にまでなってしまいましたが、実際の授業ではここまで脱線はしておりません。とはいえ、こうしたことにも融通無碍・古今東西・縦横無尽に興味関心を持てる知的好奇心(愉しむ心)は、塾生のなかに育んでいきたいものです。最近では、現代文をわざわざ古文に置き換えて楽しむ向きもあるようですから。

 

 

 

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