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難解? 「光の化石」としての写真とは?

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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。

 

いま、小諸の町場などでは、写真展が開かれているようですね。

 ASAMA INTERNATIONAL

 PHOTO FESTIVAL 8/28~11/21

リーフレットを入手したので繰ってみたところ、その中の一枚の白黒写真に目が留まりました。

森山大道の撮影による、青森・三沢の犬の写真。

 「Stray Dog」(1971)

獣のにおいがしてきそうな、威力に満ちた犬。

フレームいっぱいに全身が大写しにされた犬。

こちらに向けたその眼差しは、虚ろとも獰猛とも見えます。

塾長は、この写真に見覚えがありました。

というのも、塾長が好きな本、倉石信乃『反写真論』(河出書房新社)のなかで論じられていた作品だったからです。

 

そこで、久しぶりに書架から当該の本を出して来て、読み返してみました。

こんなふうに書かれています。

[…]写真は(a)現実の近似的イメージではなく、あるいは(b)現実と「間をおいた」模造なのではなく、光学的・化学的な複数の変換子を介するにせよ現実と「物質的に連続する」のだという「常識」がもう一度確認されねばならない。森山大道が、(1)写真は光を〈化石〉化したものであると強調する場合、(c)比喩としてではなく了解されるべきである。

― 倉石信乃「犬と人間 森山大道小論」(『反写真論』所収 下線引用者)

う~む。難しいですね。一読では何を言っているか分からないような、難解で硬質な、しかしどこか、論理的な眩暈を誘うような文章。

 

塾長は、この箇所を用いて、高校生の何人かを対象に、次のような発問をしてみました。

「下線部(1)写真は光を〈化石〉化したものであるとはどういうことか。筆者の考えを分かりやすく説明しなさい。」

共通テスト二次試験における現代文、論説的文章の読解練習です。

 

結果、多くの生徒さんたちが、ここでいう〈化石〉化した写真というものを、

・被写体の運動が止まって固まったもののことである。

・時間を封じ込めて、昔のことが記録されたものである。

などと捉え、完全に(失礼ながら…)間違った答えを作っていました。これらは、運動している現実のモノや、過去に存在していた現実のモノ写し取って定着したという感覚のとらえ方なので、下線部(a)(b)(c)で否定されている、「近似的イメージ」「模造」「比喩」としての写真のほうの説明ですよね。

そうではなく、筆者の考えは、現実のモノ地続きで、写真と言うモノ(物質)も存在している、ということにあります。写真のなかの像やそれが指し示している現実ののモノの問題ではなく、写真というモノそのもののほうの問題だと気づいてもらいたかったです。

高校生の論説文読解については、まだまだこれから鍛えていく必要がありそうです。

 

フォト・フェスティヴァルに関しては、屋外展示が中心だそうですから、もし期間中に時間がとれれば、密を避けて観覧したいと思っています。

こういう催しものは、結構好きです。

 

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