- カテゴリ
皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。
いま、塾の庭には、額紫陽花、向日葵、秋桜が、並んで咲いています。
季節の移り変わりを同時に楽しめる贅沢、といったところでしょうか。
さて、皆さんは、アイルランド生まれの作家ジョナサン・スウィフト(1667-1745)の風刺小説『ガリヴァー旅行記』(1726)をご存じでしょうか。
塾長が小学生くらいの頃には定番の本でしたが、昨今の生徒さんたちは、あまり読まないのでしょうか。
生徒さんたちに訊いてみたところ、半分近くの人が、“全く”知りませんでした。
ごく単純に、小人の国に行く話と、巨人の国に行く話の部分についてでさえ、です。
とはいえ、逆に言えば、半分近くの人が“知っていた”ということでもあります。
(きちんと読んでいる人は読んでいるのです。)
ものは知らないよりは、知っていた方がいいです。中・高生あたりであれば、幼年版(小人の国・巨人の国だけの簡略版)ではなく、きちんと4編載っている、正規の翻訳本のほうで読んでみてはいかがでしょうか。
…そもそも、授業で、なぜそんな話になったのかといいますと、
「《大きい》と《小さい》を、それぞれいろんな英語で書いてみな」
と塾長が言ったことからでした。
安直な1対1対応で、
大きい=big、
小さい=small
だけでは、おさみしいよ、と鼓舞して、いろいろと書いてもらいました。自力で挙げてもらったり、調べたりしたなかで、
《大きい》のほうでは、big、large、huge、enormous、giganticなどが出てきました。
《小さい》のほうでは、small、little、tinyなどと並んで、lilliputianという語が挙がりました。
塾長はすかさず、
「あ、このlilliputianというのは、『ガリヴァー旅行記』のLilliput国から来ているね!」
と、話したのですが、生徒さんの半分は、ポカンとしたまま。
そこで、スウィフトの『ガリヴァー旅行記』の概要を紹介したのでした。
第3編では、天空の国ラピュタに行くことや、実はガリヴァーは江戸時代・鎖国下の日本にも来ていたということなども。
クラスによっては、《風刺》の意味も話しました。
実は『ガリヴァー旅行記』は、単なるファンタジーではなく、当時の社会への風刺がこめられた作品であったということなどなど。
多様な英単語、スウィフトから派生した様々な知識、風刺の意味、等々、有機的に意味深いものが示せたと思います。
(そんなの、テストに出ないじゃ~ん、などというケチ臭いことを言う人は、知の面白さを知らない、かわいそうな人ですね。いえ、それどころか、実はテストにも出ているのですよ。実際。教養のある出題者は、こうしたことから知を有機的につないでいくことをおこなっています。学ぶ側も、より広い視野で学びましょう。)
脱線しすぎず、きちんと学習内容に回収するのも、塾の仕事。
今回は、英語・国語・歴史を縦断する話となりました。
(※本年4/30の塾長日記にも、関連する話題が載っています。)