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皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。
梅雨ですね。過ごしやすい天気だと思っていたら、雨です。
土埃が湿って、束の間、一面に雨の匂いが立ち上ってきました。
今年度改定された中学校の教科書。中学生のお子さんをお持ちの親御さんがたは、ご覧になっていらっしゃるでしょうか。
素晴らしいですね。とりわけ、国語中1~中3まで、全学年の目次の後に付いている『思考の地図』と題された、思考法の一覧が、とても良くできていますね(光村図書)。見出しだけを紹介しますと、…
①思考を広げる
マッピング、ブレーンストーミング、ワールド・カフェ
②思考を整理する
軸、分類、観点、共通点・相違点、順序・流れ・関係
③思考を深める
原因と結果、意見と根拠、具体と抽象
…もしこうしたものが塾長の学生時代の教科書にも図やイラストとともに分かりやすく載っていたならば、学生時代のレポートや論文も、もっと広い視野で、深い思考で、整然とした論理で語れていたかも(?)しれません。いまの生徒さん・学生さんたちの、“至れり尽くせり”状態を、うらやましく思ってしまいます。
この、謂わば、“頭の使い方”の地図を、利用しない法はありません。大いに参考にしていきましょう。
[前半、終了]
※さて、今回の塾長日記・後半は、特に、この地図の最後にある、「具体と抽象」を採り上げます。
[後半、開始]
そうこうするなか、先日、中3国語授業で、定期テストの問題集を解説していたときのことです。
自然環境問題を扱った論説文で、本文中にある「多面的」とはどういうことかを、具体的に40字以内で説明せよといった問題だったのですが、生徒さんからいろいろな解答が出てきました。
模範解答では、この「多面的」を「自然科学のみならず社会科学や人文科学の観点からも」というような置き換えをすることで答えが作られていました。
たしかに「多面的」を「自然科学」「社会科学」「人文科学」に置き換えているので、これも解答例としてはありうるものでしょう。しかし、はたして、これで本当に「具体的に」答えたことになるのでしょうか。
「自然科学」「社会科学」「人文科学」は、本文中の筆者による噛み砕きのなかでは、抽象度がまだまだ高い言葉であると、塾長は感じました。名づけるなら、「半抽象」ないし「半具体」です。それよりは、従来の科学技術の観点(=自然科学の観点)のみならず、自然はどうあるべきか、人間はどういう自然の見方をしているのか、これまでどう見て、どう判断してきたのか、人間にとって自然環境とは何なのかといった観点(=社会科学・人文科学の観点)が、今後は必要だ、というところまで降りていった具体的置き換えのほうが、本文に即しているように思いました。
そこで、授業ではそれを基に、抽象と半抽象(半具体)と具体の3段ピラミッドの図解をして、塾長独自の解答例も披瀝しました。
生徒さんのなかには、上手に半抽象(半具体)と具体を織り交ぜた解答を作り上げていた人もいました。授業では、「◎二重丸!」として、採り上げました。
また、まったく書けずに白紙答案、などという塾生がいなかったことも、素晴らしかったです。特にこうした記述問題は、鍛えていると、できるようになるんですね。外は雨でも、教室内は、天晴れです!
「具体の対義語は? 漢字で書いてごらん?」から始めた授業。中には「抽象」という語が出てこない生徒さんや、「抽象」を漢字で書けず「ちゅうしょう」と平仮名で書いているような生徒さんもいるなかでの授業開始でしたが、最終的にはかなり遠くまで“思考の旅”ができました。
正しい地図を見ながら指針を持って進むということは、遠くまで行く旅では、とても大切なことですね。