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下人の行方は、誰も知らない。

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「下人の行方は、誰も知らない。」

誰の、何という作品の末尾か、知っていますよね?

 

皆さん、こんにちは。学びの庭・塾長の柳です。

 

昨日、高校1年生からのリクエストで、芥川龍之介『羅生門』の読解演習(テスト対策)をしました。

この作品は、芥川が帝国大学在学中に書いたものです。

 

兎に角、まず、驚きますね。

100年以上前一学生が書いたテクストが、こんなにも様々な読解に耐えうるほどに完璧であるということに。

 

下人の心理や論理の変化をつぶさに追うことが高校生の読解の中心にあることは言うまでもないことですが、他にも様々な読解ポイント(謎)があります。

 

・なぜ、タイトルが、『羅城門』ではなく、『羅生門』なのか。

・「蟋蟀(きりぎりす、平安朝においてはコオロギのこと)」は、何を意味しているのか。

・なぜ、「旧記によると」「作者は」「sentimantalisme」など、語り手が顔を出してこれが虚構であること(一つの語りに過ぎないこと)が幾度も明示されるのか。

・「黒洞々(こくとうとう)たる夜」の象徴しているものは何か。

・なぜ、芥川は最後の一文を「下人の行方は、誰も知らない。」と書き直したのか。

 

などなど。

 

自己正当化さえできれば逡巡なく悪へと一歩踏み出してしまう人非人の下人。

しかし我々はそれを安易に批判できるのでしょうか。

それ自体、現代性(アクチュアリティー)を持った問いですが、上記のような細部にこだわって答えを探っていくこともまた、大変な知的冒険になることと思います。自分一人だけではなく、友人と、家族と、いろいろと意見を出し合ってみてください。

(つまり、ご家庭で、親御さんも、しっかり『羅生門』を読み返してください、そのくらいは、やってみてください、という意味ですよ。)

 

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